「コーヒードリップポット」を使っていますか?
こんにちは、広報部Web担当のやまやです。
寒い冬が訪れ、家で過ごす日が増えている今日この頃。暖かいコーヒーをゆっくり淹れたくなる季節です。
「コーヒーをドリップする」、その「ひと手間」で、なんだか贅沢な時間を過ごしているような気持ちになりますよね。
今回、メーカーさんを訪問して、ステンレス製コーヒードリップポットについてお話を伺ってきました。ものづくりのプロからお聞きする話は勉強になるものばかり…
知識を深めて、「自分にぴったりなドリップポット」を探してみませんか?
金属加工の町にある、有限会社 竹井器物製作所
金属加工の町、職人が集う新潟県燕三条地区。ここでステンレスなどの金属の加工・製品作りを行っている【有限会社 竹井器物製作所】を訪問させていただきました。
お話を伺ったのは竹井社長。にこやかに対応いただき、インタビュー中は一つの話題から別の話題へと…広い視野でものごとを見ている方でした!
竹井社長はコーヒーを淹れる時やインスタント味噌汁を作る時にドリップポットを使う他、観葉植物の水やりにも役立てているそうです。私は普段計量カップで水やりを行っていたので、この時点で「なるほど!」と、感動してしまいました。
【ステンレスの種類】「18-0ステンレス」と「18-8ステンレス」
「錆びにくく、お手入れが簡単で衛生的」という特徴があるステンレス製品。
しかし、一言に「ステンレス」と言っても種類は様々です。竹井器物さんでは「18-0ステンレス」と「18-8ステンレス」、それぞれの特性を生かして製品を製作しているそうです。
「18-0ステンレス」とは、18クロムと0ニッケルなんですよ。普通の汎用ステンレスだと安い方で、一般的なものです。18クロムに8%のニッケルを加えると非常にさびにくく、丈夫になるという特性があります。これが「18-8ステンレス」。
当社では価格や用途によって18-0と18-8を使い分けていますね。ケトルなんかを見てもらうと一番よく分かるんですけど、上の方を18-8ステンレスで作っています。18-8ステンレスはやっぱりきれいなんですね。
それで18-8ステンレスはきれいなんだけど、磁性がなくて磁石がくっつかない。
電磁調理器にやっぱりちょっと効率が悪いんですよ。だから電磁調理器なんかは、ガスも含めて熱伝導のいい18-0を下に使う。18-0ステンレスは熱伝導が良く、磁性もあるんですよ。
使う時のことを考えて下は18-0ステンレス、上の方はきれいで耐食性の強い18-8ステンレスを使って、ケトルなんかを作っています。
一言に「ステンレス製」と言っても、場所によって18-8ステンレスと18-0ステンレスを使い分けているそう。素材の張り合わせによって美しく丈夫に、また、機能面でも使いやすくなっています。
普段は気に留めませんが、よく見てみると、継ぎ合わせている部分が分かります。
身近なステンレスケトルを見るのも、ちょっと面白くなりますよね。
【ものづくりについて】「手間をかけること」と「デザイン性」
深絞り製品が得意な竹井器物さん。開発工程について伺ってみました!
デザイン性に富んだ「凝った形」や「深さのあるもの」など。
そういった点で良くしようと思うと、よそ様がやりにくいような形・深さなんかにデザインを持っていきますから、どんどん深絞りになっていきます。簡単な浅いものは1回で絞れるんですけど、深くなればなるほど多工程になります。
※深絞り…一枚の金属板に圧力を加え、深く絞り込んで容器の形状にする加工方法
何回も何回もやって、やっと形にするんですよ。一気にやろうとすると切れちゃうんで、じわじわと伸ばすんです。価格優先で作る簡単なものと、デザイン重視で作っていくものとありますけど、どちらかと言うと、まずはデザインを考えて、そこから深絞りの工程を考えていきます。
浅いものはどこでも出してるし、中国なんかでもあるんで、あまりいい形のものがないですよね。安物のイメージが強い。それと、簡単に作れるものは、やっぱりどこも簡単にまねをしてしまいます。まねされると、どんどん価格が暴落していって、安さの追求ですぐ商品自体が死んじゃう。価格競争になると、もう作れなくなっちゃいます。
それで私どもはできるだけ意匠登録が取れるような、売れるような形を考えてやっています。意匠登録が取りにくいものは、どんな良いものでも「まねしてくれ」という見本作っているような気がしてやっぱり嫌ですよね。権利が取れたものについては、すぐには同じものが出てこないんで、かなり安心して作ることができます。
やっぱりいいものって深く作って形を複雑にもっていくんで、どうしても深絞り多工程という、もう宿命ですね。
「いいもの」が「深絞り多工程」で「宿命」と笑う竹井社長。
簡単に作れるものはマネされやすく、質の低下・価格の暴落ですぐ商品自体が死んでしまうそうです。
手間をかけて出来たものには、「デザイン性」だけでなく、製品のことを想う「つくり手の気持ち」がしっかり込められているのだなと感じました。
【ドリップポットについて】底の大きさと沸く時間の関係
沸きについては、同じ容量だったら結局、底の大きい方が早く沸くんですよ。小さい方が時間がかかるんです。だからこのコーヒーポットは、大きいやかんよりも時間はかかります。
ただ、「ゆっくり」して「おいしいもの」だったり「何気なしに見てるもの」、その辺も美味しさのうちなんじゃないかなと私は思います。
ドリップポットの利点として、注ぐ時にこの細いパイプがドリップに対して狙ったところにきれいに落とせるんですよね、すごく。普通のやかんみたいに大きいものだと「ドバッ」と出るし、うまく落とせないと思うんですよ。
洗い方など手入れは、普通のやかん等と全く一緒です。
【ドリップポットについて】噴き出しにくくするコツ
注意事項ですが、IHで使った場合はそう問題ないんですけど、ガスで使うとガスの炎がパイプの根元を温めるんですよ。そうすると沸騰したときに口から噴きだしやすい。
なので始めから火を少し弱めにしておくか、もしくは、強くやりたいんだったら量を減らすか。どっちかの相互関係ですね。これをうまく使い分けてやればいいと思います。説明書には書いておきますけどね。
適正容量は、だいたい満水容量の70パーセントぐらいで設定してますかね。
注ぎ口が大きいケトルを使った時、お湯が跳ねて周りを汚した経験のある方も多いのではないでしょうか。
私も日常的にやってしまい、よく焦っています。
ゆっくり自分の角度で回せるドリップポットは、狙ったところにお湯を落とせるだけでなく、気持ちにもゆとりを持たせてくれそうです。
きっと、「お気に入り」で「ゆっくり」入れたコーヒーは、自分の様々な感覚に触れて「おいしい」を届けてくれるのではないでしょうか。
普段つい見過ごしてしまう「ものづくりのこと」
今回、素材から製造工程、デザインや機能、ものを売ると言うことまで、様々なお話を伺いました。
ひとつの製品が出来上がり、それが店頭に並んで、自分が日常的に使うまでになる…、当たり前の流れですが、ひとつひとつ見ていくと、とても奥が深いものです。
普段つい見過ごしてしまう「ものづくりのこと」に少しだけ思いを馳せて、この冬はお気に入りのドリップポットで、ゆったりとした時間を過ごしてみませんか?
有限会社 竹井器物製作所のご紹介
【有限会社 竹井器物製作所】
〒959-1276 新潟県燕市大字小池4852-9
Tel 0256-63-9393
“ステンレスなどの金属を使用する深絞り(温間も含む)スピング加工、 プレス加工、溶接、研磨、電解研磨などの複合加工で製品企画から金型作成、プラニング、試作量産と対応いたします。また当域内での協力会社の加工を組み合わせて、幅広くステンレスなどの金属の加工、製品作りも行っております。”
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↑こちらはコーヒードリップポットについての取材記事vol.2です。合わせてご覧ください!