銅鍋は屋根材にも使用されるような、非常に耐久性のある材料です。
優れた熱伝導率や抗菌効果もあり、調理道具に向いている金属です。
一方で緑青を発生させないように気をつけたり、発生したらお手入れする必要があります。
こまめにお手入れすると一生ものと言われるほど長持ちしますよ。
今回は銅鍋のメリット、デメリットや正しい使い方(やってはいけないこと)を徹底解説します!
銅鍋のメリット
銅鍋の大きなメリットはこちら!
- 優れた熱伝導率
- 抗菌効果がある
- 丈夫で長持ちする
①優れた熱伝導率
銅鍋を使うと料理が美味しく仕上がります。
銅は熱伝導が優れています。熱がまんべんなく行きわたるので、食材に均一に火が通り、具を崩さず加熱ムラのない、まろやかで美味しい料理ができます。
②抗菌効果がある
銅には微量金属作用(銅イオン作用)という、水に混ざるだけで殺菌作用を発揮する性質があります。
この銅イオンの働きが微生物の発生を防ぎ調理用品を衛生的に保ちます。
③丈夫で長持ちする
銅は屋根材にも使用されるように非常に耐久性のある材料です。
銅鍋の場合は、緑青が出ないように使ったり、緑青をこまめにお手入れしますと長持ちします。
銅鍋のデメリット
銅鍋にはデメリットもあります。
- 変色しやすい
- 緑青が発生する(酸や塩分に弱い)
- 値段が高い
①変色しやすい
銅は変色しやすい金属です。
空気中の酸素と反応し、酸化被膜を生成することで黒っぽく変色します。
銅鍋の場合は、外面の火が直接当たる部分が薄黒く変色してきます。
酸化皮膜によるものなのですが、緑青を出にくくする作用があるためこのままご使用頂いて問題ありません。
元の光沢を出したい場合は、専用クリーナーと柔らかい布を使用し磨くことできれいになります。
ちなみに内面については、食品衛生法により錫(すず)メッキ又はニッケルメッキ(銀メッキ)をしなければならないことが定められています。
食品が触れる部分はメッキ加工で安全にご使用いただけます。
②緑青が発生する(酸や塩分に弱い)
緑青とは、銅が酸化する事で生じる青緑色のサビの事です。
これまで緑青は「毒」だと誤解されてきましたが、1984年、厚生省の研究によって「無害」と証明されました。
緑青は、水に非常に溶けにくい化合物のため、人体に吸収されにくく体内に入っても全て排出されます。安心してご使用ください。
緑青は酢と塩を使って落とすことができます。
お手入れ方法はこちら
緑青発生の主な原因はこちら。
- 傷がつく(金属製のツールなどで調理する)
- 酸や塩分に長時間触れる(料理を入れっぱなしにして放置する、汚れを残したままにする)
調理時には内面のメッキ加工を傷つけないよう、金属製のツールを避け、木や樹脂など鍋肌に優しいツールを使いましょう。
また、酸や塩分は内面のメッキ加工を劣化させ、緑青発生の原因となります。
内面のメッキ加工はそうそう剥がれるものではありませんが、酸や塩分を含む料理を入れっぱなしにすると劣化が早まります。
調理後は速やかに別の容器へ移し、汚れを残さないようにしっかりと洗いましょう。
③値段が高い
銅鍋は、アルミ鍋や鉄鍋に比べて価格が高い製品です。
これは調理用品に使われる金属素材の中でも、銅の価格が高いためです。
また、職人さんによる手作業で作られている場合が多いことも理由の一つです。
価格の分、上質な金属で丁寧に作られ、使い勝手や耐久性に優れた製品となっています。
銅鍋でやってはいけないこと
ここまででも少し触れてきましたが、もう少し具体的に「銅鍋でやってはいけないこと」を解説します。
- 炒め物、煎り物料理
- 内容物を入れたまま放置
- 塩分や酸等を多く含んだ汚れを放置、湿気の多い場所で保管
- 異種金属に触れたまま放置
- 空炊き、急冷
①炒め物、煎り物料理
炒め物や煎り物料理に使用すると、鍋が高温になりメッキ加工の劣化により緑青発生の原因になります。
下ごしらえ等で炒める必要がある場合は、フライパン等で行ってから銅鍋へ移すようにしましょう。
②内容物を入れたまま放置
調理後の内容物を保存すると、塩分や酸によりメッキ加工が劣化し緑青発生の原因になります。
後ほど紹介する「銅中毒」の原因にもなり得ますのでご注意ください。
料理はすみやかに別の容器へ移しましょう。
③塩分や酸等を多く含んだ汚れを放置、湿気の多い場所で保管
塩分や酸等を含んだ汚れを付着したまま放置したり、湿気の多い場所での保管は腐食発生の原因になります。
使用後はよく洗い、風通しの良い場所で保管するのが理想的です。
④異種金属に触れたまま放置
鉄やアルミ等の異種金属に製品を接触したまま放置すると、腐食発生の原因になります。
⑤空炊き、急冷
空炊きは火災や本体の変形、取っ手等の破損やヤケド、メッキ加工の劣化により緑青発生の原因になります。
さらに水等をかけて急冷するとメッキ加工の劣化により緑青発生、変形の原因になります。
万一空炊きしてしまった場合は水等をかけずに自然に冷めるのを待ちましょう。
腐食とは、錆(サビ)のように金属の外見や機能が損なわれることです。
銅のサビ=緑青は人体に無害ですが、放置しすぎると銅の劣化につながります。
「緑青を発生させない」ことが望ましいですが、緑青が発生したらこまめにお手入れしましょう。
銅中毒とは?危険なの?
銅中毒とは、飲料や料理に多量の銅が溶け出し、それを摂取することで吐き気や嘔吐を発症することです。
- 内面メッキが剥がれ、むき出し状態の銅
- 銅が弱い酸性の材料
- 長時間放置する
という状態が組み合わさってできた調理物を食べると、銅中毒になる恐れがあります。
具体的に言うと、内面のメッキが剥がれた銅鍋で味噌汁を作り、そのまま放置したものを食べる…というようなイメージです。
繰り返しになりますが、メッキ加工を傷つけないように
- 傷をつけない(木や樹脂など鍋肌に優しいツールを使う)
- 酸や塩分に長時間触れさせない(料理は別の容器に移す、汚れを残さないように洗う)
ということに気をつけましょう。
ささいなことを気をつけていただくことで、銅鍋は安全に長くお使いいただけます。
銅鍋のお手入れ方法
銅鍋ご使用後は食器用洗剤を付けて、柔らかいスポンジ等で十分に汚れを落としてください。
お湯で仕上げ洗いをし、水気を十分に拭き取り乾燥させ、湿気の少ない場所に保管しましょう。
焦げ付きなどの汚れを落とす場合、スチールたわしや磨き粉を使用しないでください。
表面を傷つけ、緑青発生の原因になります。
金属製の固いもの(ヘラなど)も使用NGです。
焦げ付きはお湯に浸して柔らかくしてから取り除いてください。
また、食器洗浄機や食器乾燥器には使用しないでください。
緑青が発生した場合には、酢に同量の塩を混ぜた溶液を布につけてこすり落とし、その後は食器用洗剤で洗ってください。
お手入れ方法はこちら
日本製のおすすめ銅鍋
1人分の調理にちょうどいいサイズ。
ホットミルク、ゆで卵、離乳食、ソース作りにおすすめです。
カレーなら5〜6皿分に対応できるサイズ。(材料によって異なります)
煮込み料理、茹で物、お菓子作り、卓上鍋としてもおすすめ。
揚げ物・天ぷら専用です。
揚げ物のタネを入れても温度が下がりにくく、カラッとした仕上がりに。
まとめ
最後に銅鍋の特徴についてまとめます。
銅鍋のメリットは
- 優れた熱伝導率
- 抗菌効果がある
- 丈夫で長持ちする
特に熱伝導率は他の金属製鍋よりも優れており、プロの料理人も使用されています。
銅鍋のデメリットは
- 変色しやすい
- 緑青が発生する(酸や塩分に弱い)
- 値段が高い
外面の変色は緑青を防ぐ作用もあり、鍋においては一概に悪いものではありません。
また、使い込むほどに飴色になる「経年変化」を楽しめる道具でもあります。
内面のメッキ加工は、傷や劣化により緑青発生の原因になります。
- 炒め物、煎り物料理をしない
- 内容物を入れたまま放置しない
- 塩分や酸等を多く含んだ汚れを放置、湿気の多い場所で保管しない
- 異種金属に触れたまま放置しない
- 空炊き、急冷しない
以上に気をつけてご使用ください。
銅鍋はこまめにお手入れすると一生ものと言われるほど長持ちします。
気になった方はぜひチェックしてみてくださいね!
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