「ふっ素樹脂加工のフライパンは危険」
「ふっ素樹脂は人体へ悪影響を及ぼす」
「はがれたふっ素樹脂は有害」…
このような情報を見たり・聞いたりしたことがある方もいらっしゃるかもしれません。
今回は、ふっ素樹脂加工フライパンを製造・販売しているメーカー目線で
- ふっ素樹脂加工と有害性について
- PFOAフリー意味と選び方について
- ふっ素樹脂加工とセラミック塗膜加工の違い
- ふっ素樹脂加工フライパンの正しく安全な使い方
をご紹介していきます。
「ふっ素樹脂加工フライパンの正しく安全な使い方」は、フライパンを長持ちさせることにもつながります!ぜひ最後までご覧ください。
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ふっ素樹脂加工フライパンと有害性について
ふっ素樹脂は1938年に米国化学メーカーのデュポン社が発見したものです。冷却用物質を研究していた時に発見し、これを調理器具に応用しました。
1965(昭和40)年、日本で初めてふっ素樹脂加工をしたフライパンが発売されました。
現在では、ふっ素樹脂はフライパン、鍋のほか、炊飯器の内がま、ホットプレートやオイルポットなどの調理用具、ガスレンジの天板など、台所にある多くの製品に使われています。
※PRESIDENT STONE(プレジデントストーン)はハードコートの一種
ふっ素樹脂は安全で、人体に影響はない
結論から言うと、ふっ素樹脂は人体に影響がないと確認されています。安全性についていろいろな実験が行われ、検証されました。
しかし想定を超えるような使用方法では、
- 分解ガス発生
- ふっ素樹脂の剥がれ発生
といった問題が起こり得ます。
以下のように注意してご使用ください。
①1分以上の空焚きNG
調理時の予熱は「中火で30〜40秒」にとどめましょう。
ふっ素樹脂加工製品の連続使用可能温度である260℃を超えると、他のプラスチック同様に分解ガスが発生します。
通常の調理では200℃以下なので心配する必要はありませんが、通常のコンロでも1分以上加熱すると空焚きとなり、ふっ素樹脂加工を傷めます。
空焚きしたフライパンから煙が出てきた場合は、過度に空焚きしている状態です。十分に換気してください。
特に火力の強いハイカロリーバーナーではご注意ください。
また、食材に対し大きいフライパンで調理した場合、食材が乗っていない部分が空炊き状態になります。分量に合わせたフライパンを使いましょう。
②金属製ツールの使用を控える
ふっ素樹脂加工はがれの対策として、まず金属製ツールの使用を控え、木、樹脂などのツールを使うことを意識しましょう。
金属ツールで表面に傷がつくことで、ふっ素樹脂加工の剥がれにつながります。フライパン表面にやさしい木や樹脂製のツールをおすすめします。
③料理の長時間保存に注意
ふっ素樹脂加工はがれの対策としてもう1つ。調理後はなるべく早く料理を容器へ移し、フライパンを洗いましょう。
料理を長時間フライパンに保存すると、塩分や油分が染み込んでふっ素樹脂加工の腐食につながります。
④熱々フライパンの急冷に注意
フライパンを洗う際は急冷にも注意しましょう!
金属は熱で膨張します。火から下ろしたアツアツフライパンに大量の水をかけると、ふっ素樹脂加工がぎゅっと収縮します。
そして表面の加工がずれて剥がれやすくなります。続けていくと劣化スピードを早めてしまいますので、急冷は避けましょう。
先述の通りふっ素樹脂の安全性については、いろいろな実験が行われ、人体に影響のないことが確認されています。
ふっ素樹脂を食べてしまっても、吸収されずにそのまま体外に排出されます。
とはいっても、積極的に摂取すべきものではありませんし、ふっ素樹脂が剥がれることでフライパンはこびりつきやすくなります。
フライパンの劣化スピードを抑えるためにも、使い方に注意していきましょう。
PFOAフリーとは
「PFOAフリーと書いてあるフライパンなら安全!」
と言う情報を見たことがある方もいらっしゃるかもしれません。
結論から言うと、調理器具ではPFOAを使用していないふっ素樹脂塗料を使用したものが主流です。
PFOA(ペルフルオロオクタン酸)はふっ素樹脂加工を作る際の助剤として用いられていました。
ふっ素樹脂加工の製造工程で熱により蒸発し、鍋やフライパンになった時には残っていないと言われています。しかし発がん性や水質汚染の観点から、原料にもPFOAを使用しないほうが安全であるという動きになっています。
ふっ素樹脂を製造しているメーカーの業界団体では「PFOAフリー」という表現は使わない取り決めとしています。
これは、出来上がった製品にPFOAが無くなっていると言う観点での表現に意味合いが近いため、根幹からPFOAを使用していない物と混同される可能性があるためです。
少々、耳馴染みが薄いですが、元の原料から使用していないものについては「made without PFOA」との記載で統一されています。
セラミック加工とふっ素樹脂加工の違い
ふっ素樹脂加工とよく比較されるのが「セラミック塗膜加工」です。
PFOAフリーは安全!と同様に、
セラミック塗膜加工なら安心!
という情報を見たことがある方もいらっしゃるかもしれません。
背景には、セラミック塗膜加工の耐熱温度の高さがあります。
セラミック塗膜加工は「金属に陶器のうわぐすりをかけたようなもの」です(ふっ素樹脂加工は金属に樹脂を塗膜したもの)。
セラミック塗膜加工の特徴は…
- 内面が白く料理の色が見えやすい(白系が多いですが黒系もあります)
- 耐熱温度が高い(約400℃)
- 汚れを落としやすい(油分が残りにくい)
しかし、表面は「金属に陶器のうわぐすりをかけたようなもの」
つまり「ガラス質」のため、ふっ素樹脂加工のような「こびりつかない特性」は持っていません。
成分比率や加工方法を変更し、セラミックの良さを活かしながらこびりつきにくさを持たせた加工もありますが、ふっ素樹脂加工と比べるとすべり性には劣ります。(※当社製品比較)
そのためセラミック塗膜加工の製品は水分の多い料理に向いています。
焼き物調理の際にはすべり性を高めるため、油を多めにご使用いただくことをおすすめします。
ふっ素樹脂加工フライパンの正しい使い方
最後にふっ素樹脂加工製品を正しく、安全にご使用いただく方法をまとめます!
- 1分以上空焚きしない。調理の予熱は「中火で30〜40秒以内」で
- フライパンの表面に優しい「木、樹脂製などのツール」を使う
- フライパンの中に料理を保存しない(一昼夜が目安)
- フライパンが冷めてから洗う
ふっ素樹脂加工を長持ちさせる使い方はこちらをご覧ください。
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まとめ
当社は年間約350万枚以上のフライパンを販売しています。
多くのユーザーさんに安心してご使用いただきたく、今回のコラムを作成しました。
ご家庭で正しい使用方法で扱っていただければ、ふっ素樹脂加工フライパンは安全で便利な道具です。
フライパンには、ふっ素樹脂加工以外にも、
加工を施さない鉄、銅、ステンレス、アルミ素材のものもあります。
それぞれの素材に、それぞれの良さがあります。
いろんな情報が溢れる時代ですが、ぜひ実際に使ってみて良さを体感していただけましたら幸いです。
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